第5回機機械会報告書
「第5回 機機械会(キキカイカイ)」が、2018年8月24日(金)に新宿キャンパス28階 第4会議室で18時30分より20時30分まで開催されました。
開催の趣旨
機械系同窓会では、年度事業計画の一つに学園との連携を掲げており、その中で機械系教職員との連携・交流を図り、お互いの技術、情報、人脈を活用し合える環境を構築したいと考えています。その一貫として「機機械会(キキカイカイ)」という名の会を立ち上げました。
今回の講演者とテーマ
講演者:工学部 機械工学科 何 建梅(カ ケンバイ) 教授
演題:「衛星システム設計の概要及び航空宇宙分野での複合材料の応用による軽量化」
講演内容
最初に唐鎌貞郎幹事より開会の挨拶があり、次いで田中英生機械系同窓会会長より本日の趣旨と何先生がご講演を引き受けてくださったことへの感謝の言葉と、さらに講演後に何先生を囲んで学生とOBとの実りある交流を期待するとの挨拶がありました。
何先生よりまず自己紹介があり工学院大学就任するまでの経緯を説明されました。
何先生は、1988年に北京大学の力学系・固体力学専門(理学)を卒業され、1998年に早稲田大学の大学院理工学研究科・機械工学専攻で学位:博士(工学)を得られた。 その後1998年〜2001年に米国のStanford大学、国家標準計量技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)の客員研究員として研究生活をおくられ、日本に戻られてから宇宙開発事業団(NASDA)の招聘研究員及び宇宙航空研究開発機構(JAXA)の主任研究員を勤められた後、2006年に工学院大学・工学部・機械工学部の准教授として就任され、2016年に教授となられた。
何先生の専門は、構造物の目的に合わせた最適設計並びに各種環境下での構造力学的挙動に関する実験及び解析評価など広範囲にわたっています。米国の客員研究員の時にはガラス繊維(GFRP)と炭素繊維(CFRP)からなるハイブリッド複合材料のせん断特性に関する研究など行い、これは後に宇宙分野でロケットや人工衛星の構造系の設計に役立っている。
NASDAやJAXAでの研究業務は、液化燃料を用いるロケットの液体推進薬(液体酸素や液体水素)の極低温タンクの研究開発の他、打ち上げロケットのノズル不具合に対する問題点の究明解析や衛星構体の概念設計など構造系の課題に取り組まれました。
航空機関連では構造部材としてCFRP先進複合材がボーイング787旅客機などに胴体や主翼に大量に用いられ、生産が受注に追いつかないような状況にあるが、大型で高価なオートクレープや金型が必要であることや素材以外にも成形工程の工数削減などが重要な課題となっている。
何先生は、日本で打ち上げられた人工衛星の運用中に発生した太陽電池パドルの軌道上不具合に対する構造的健全性評価や、各種観測衛星構体系の構造様式に関する概念設計検討や検証を行っていた。またロケットの打ち上げに対する衛星システム構造に関しては、@剛性要求、A強度要求、B形状寸法に係る要求及びC軽量化に係る要求に対応することが重要であると指摘された。
また宇宙で太陽光を収集してエネルギー変換して地球に送る宇宙太陽光利用システム(SSPS:Space Solar Power System)のコンセプトにおいて、宇宙で成形機と原材料による部材・構造体の成形による大型構造システムの建設方法や、カイコが繭を、クモが巣を造るような生物の動きを利用する工頭脳成形機(Cybernetic Molder)の検討などの複合材の応用に関する技術テーマを紹介され講義をまとめられた。
最後にいつものように何先生をOBや学生が囲んで和やかに講演の続きを議論し将来の夢を語るなどするなど、実り多い第5回機機械会がお開きになった。
機機械会実行委員会 唐鎌貞郎 幹事の何先生のご紹介
第5回機機械会の講演者 工学部 機械工学科 教授 何 建梅 先生
機械系同窓会 田中英生会長による趣旨説明と何先生への感謝の辞
何先生を囲んでOB並びに学生との討論会兼懇親会
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